会長挨拶
この度、第19回日本脳神経外科救急学会学術集会を主催させて頂くことになりました。 会場は、富山市国際会議場で、会期は2014年1月11日・12日、学会関連の諸会議は前日の10日に開催いたします。
救急医療において、中枢神経疾患に急性期から積極的に関わる脳神経外科医は極めて重要な役割を果たしています。一方で救急医療についての社会的需要は、社会構造の変化に伴い需要が高まり、メディカルコントロールなど専任化の方向が進められています。このため、脳神経外科医の救急への想いと社会の要請による救急医療の動向にはしばしば乖離が起きる状況が生まれつつあります。また、脳神経外科の救急医療は、初期、二次、三次の階層化された我が国の救急医療体制とは必ずしも一致しておらず、脳神経外科救急の評価が定まらない結果となっています。
このような状況の中で、わが国の救急蘇生の取り組みが評価され、国際蘇生法協議会(ILCOR)において、アジア蘇生協議会として正式会員となり、わが国独自のJRC(日本蘇生協議会)ガイドライン2010を策定し公開するに至りました。このなかに、日本オリジナルのチャプターとして、第6章:神経蘇生 Neuroresuscitation が公開されております。これは脳神経外科救急の基礎とも言えるガイドラインであり、日本脳神経外科救急学会も日本蘇生協議会の加盟団体となりました。脳神経外科専門医と救急科専門医の共有すべきガイドラインとして活用することが期待されます。
また、脳死・臓器移植においても、日本脳神経外科救急学会は、臓器移植関連学会協議会のメンバーとして脳死判定の環境整備等に向けたディスカッションに参加しています。この点につきましても、
脳神経外科専門医と救急科専門医の共有すべきコンセンサスの醸成が期待されます。
脳神経外科医と救急医による手作りの研修であるPNLSも研修内容のブラッシュアップの時期を迎えております。それぞれの専門医による共同作業としての発展をめざしたいと思います。
冬の北陸は、海の味覚の宝庫と言われております。
上記の様なディスカッションの合間に、是非、お楽しみください。富山県をあげてお待ちしております。
第19回日本脳神経外科救急学会 会長
富山大学大学院危機管理医学 教授
奥寺 敬